運送会社における倒産の手続と対策

Q&A

Q: 最近、経営状況が厳しく、倒産の可能性が出てきました。運送会社が倒産する際、どのような流れになりますか?また、注意すべき点はありますか?

A: 運送業界は、近年の人手不足やコスト高騰などで厳しい状況にあります。倒産の流れとしては、まず弁護士に相談し、破産や廃業の方針を決めるところから始まります。特に運送業特有の車両や預かった荷物の管理が重要で、計画的な対応が必要です。以下では、運送会社の倒産について詳しく解説し、注意すべき点をまとめていますので、ご参照ください。

はじめに

運送業界では、近年、さまざまな要因から経営が難しくなっている会社が増えています。特に2024年に導入される時間外労働の上限規制が追い打ちをかけ、人手不足と人件費の増加、燃料費の高騰も加わり、厳しい経営環境が続いています。また、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた融資の返済が重荷となり、資金繰りが困難になるケースも多いです。本記事では、運送会社が倒産する際に知っておくべき基本的な流れと、注意点を解説します。

運送会社の倒産の原因

人手不足と規制強化

2024年から施行される時間外労働の上限規制により、運送業界では労働力不足が懸念されています。これは経営の大きな負担となる要因の一つです。

コストの高騰

人件費の上昇や燃料費の高騰が続く中、運送会社は価格転嫁が困難な状況にあります。このため、赤字経営が続いている会社が増加しています。

融資返済の負担

コロナ禍で融資を受けた会社の多くが、当初は利息のみの返済であったものが、元本の返済が始まり、これにより資金繰りが悪化している事例が多発しています。

運送会社の倒産の流れ

倒産には様々な形がありますが、運送会社において最も相談件数が多いのが破産手続きです。ここでは、運送会社が破産する場合の基本的な流れを説明します。

  1. 弁護士への相談
    倒産を検討する際には、まず弁護士に相談して、破産や廃業の方針を決定します。
  2. 破産の準備
    破産の準備には、必要な資料の収集や破産費用の準備が含まれます。事業を停止する日を決定し、その日に弁護士が金融機関や取引先に破産を通知します。
  3. 破産手続きの開始
    裁判所に破産申請が提出され、受理されると、破産管財人が選任されます。この破産管財人が会社の資産を換価し、債権者に分配します。

運送会社の倒産時の特徴

運送業には特有の問題があり、倒産の際には慎重な対応が求められます。特に、車両や預かった荷物の取り扱いが重要です。

車両の管理

運送会社の主要資産は業務用車両です。倒産時における車両の管理は特に複雑です。

  • 自社所有車両の場合、これを売却して破産費用や従業員の給与に充てることが可能です。
  • リース車両の場合は、リース会社への返却が必要となります。しかし、倒産時には車両が遠隔地で稼働しているケースが多く、これが事業所に戻らなかったり、最悪の場合は盗難に遭うリスクもあります。車両の所在や保管場所の管理が重要です。

預かった荷物の取り扱い

倒産時に預かっている荷物についても、顧客に大きな迷惑をかけないよう慎重な対応が求められます。

  • 配送の完了が難しい場合は、配送を依頼した顧客に荷物を返却するか、配送業務を継続できる人員や車両を確保する必要があります。

弁護士に相談するメリット

運送会社の倒産には、多くの複雑な問題が絡みます。弁護士に相談することには、以下のようなメリットがあります。

  1. 専門的なアドバイス
    倒産手続きや債務整理の経験が豊富な弁護士が、最適な対応策を提案します。特に運送業に精通した弁護士であれば、業界特有の問題にも迅速に対処できます。
  2. リスク管理の徹底
    車両や荷物の管理、従業員への対応など、リスクの高い問題を弁護士が代理で処理し、最悪の事態を回避します。
  3. 迅速な対応
    倒産時はスピードが重要です。弁護士と連携することで、手続きをスムーズに進め、倒産後の混乱を最小限に抑えることができます。

まとめ

運送会社が倒産する際には、業界特有の課題が数多く存在します。車両や預かった荷物の取り扱い、従業員や外注業者への対応など、慎重に計画を立てる必要があります。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、運送会社の倒産に関する豊富な経験を活かし、適切なアドバイスとサポートを提供しています。早めの相談で、倒産リスクを最小限に抑えましょう。

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