ポイント

  1. 債権回収を簡易迅速に行う方法として、相殺がある
  2. 相殺の要件・効果を押さえる
  3. 相殺適状を作出することで、債権回収を意識的に行うことが可能になる

相殺の利用

債権管理の方法として、「相殺」を利用することが考えられます。

相殺とは、ある2人がお互いに同種の目的の債務を負担している場合に、自己の相手方に対して有している債権と相手方に対して負担している債務とを対当額で消滅させる意思表示をいいます(民法505条以下)。

相殺を利用することによって、実質的に簡易迅速な債権回収を実現することが可能となります。

相殺の要件

相殺の要件は、以下の3つとなります。

  1. 相殺適状にあること
  2. 相殺禁止に当たらないこと
  3. 相殺の意思表示をすること

相殺の効果

自己の相手方に対する債権(自働債権)と、相手方が自己に対して有している債権(受働債権)とを、対当額で消滅させることができます。

相殺を利用することによって、債権者は、相殺の意思表示をするだけで実質的に債務者から債権を回収したことと同様の効果を得ることができます。これによって、他の債権者よりも優先して債務者に対する債権の回収を図ることが可能といえます(簡易迅速な決済の実現)。

また、相殺適状を作出することによって、債務者からいつでも債権回収を図ることができる状態になるといえます(相殺の担保的効力)。

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