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不動産関連4 不動産売買契約

1.不動産売買契約の締結について

不動産は売るにしても買うにしても、高価な取引となり、重要な財産になりますので、実際の契約にあたり必要なことをご説明いたします。

(1)不動産登記の確認

不動産登記とは、不動産についての現況と権利関係を公示するための登記で、これを確認すると売主が本当の所有権者かどうかや抵当権等の所有権を制限するような権利がついているかどうかを確認することもできます。

(2)現地の調査

実際にその物件を占有しているのが所有権者とは限りませんので、物件の購入を思い立ったら登記簿を確認するとともに、登記簿からだけでは確認できないことを現地に行って確認するようにしましょう。

(3)用途地域の確認

土地を購入し、その上に建物を建築する場合、都市計画法上の用途地域制限により、建築できる建物の種類・建ぺい率・容積率・高さ制限などが規制される場合があります。事前に確認するようにしましょう。

(4)重要事項説明

不動産の売買は、仲介業者を介して行うことが一般的です。仲介業者は契約に先立ち、宅地建物取引主任者を介して契約の重要な部分について説明し、書面を交付しなければなりません。説明の具体的な内容は、当該不動産に付されている権利についてやその他法定事項になります。

(5)申込証拠金

申込証拠金とは、マンションや建売住宅の分譲販売の際、購入希望者から、販売業者に対し交付する金銭を言います。申込証拠金の交付は契約締結前に行われますが、売買契約は成立していませんので、後々申込の撤回をすることもできます。

(6)手付の交付

契約当事者が契約の履行に着手するまでの間は解除権を留保し、買主は手付を放棄し、売主は手付金額の倍額を買主に返還すれば解除できるという内容の手付を交付します。

2.売買契約書の記載内容

不動産を売買する際には口頭で合意するだけではなく、不動産売買契約書を締結することが一般的です。最近ではインターネットの普及から、汎用的な内容の売買契約書が気軽にダウンロードできたりしますが、汎用性の高い契約書には不足する内容もありますので、取引の実態にあわせて丁寧に作成する必要があります。

また、ある程度の内容を定めた標準的な契約書を作成しておき、個別の取引ごとに特約等をつけて締結することも可能です。

すなわち、売買契約書に何をどう記載するかは、当事者の合意に基づき、自由に決めることができます。

3.公序良俗・強行法規違反

契約は原則として自由ですが、社会秩序を乱したり、道徳や倫理にはんする契約、不当な利益を得ようとする契約は「公序良俗違反」で、いくら契約書に記載しても無効になります。また、当事者の意思に左右されずに強制的に適用される「強行法規」に反する記載についても効力は認められません。

4.不動産売買契約書の記載内容について

では、不動産売買契約書を作成するには、どうような内容に気を付ける必要があるのでしょうか。

(1)契約金額(売買代金額)、支払時期、方法

不動産売買契約書の契約金額(売買代金額)、支払時期、方法は、売買の当事者にとって最大の関心事と言っても過言ではありません。契約金額(売買代金額)については当然のことながら、支払時期や方法についても契約書に明記する必要があります。また、手付金についてはどうなっているかも確認する必要があります。

(2)所有権移転の時期、登記、引渡し

不動産売買契約の場合、売主は買主がいつ支払ってくれるか、買主としてはいつの時点で所有権が自分に移るのか、所有権移転登記はいつするのか、実際に不動産を引き渡してくれるのはいつなのか、に注意して契約書を確認する必要があります。契約締結後、トラブルにならないためにも、事前に明確にしておくことが重要です。

(3)土地面積と売買代金の算定方法

売買代金の算定方法には、登記簿上の面積を記載し、売買代金はいくら、と固定する方法や売買契約締結後、残代金支払日までに実際に測量を行って精算する方法などがありますが、事前に合意した内容が契約書に記載されているかどうか確認をしましょう。

(4)瑕疵担保責任

不動産売買の後に、当該不動産に欠陥(瑕疵)が見つかった場合、原則として売主が責任を負う必要があります。瑕疵とは、雨漏りやシロアリ等が含まれ、売主が責任を負うのは、買主が注意しても発見できなかった「隠れた瑕疵」になります。売主が負わなければならない瑕疵担保責任は、物件の補修や損害賠償になります。

5.まとめ

不動産は高額で、大きな取引になりますので、注意しなくてはならない点がたくさんあります。売買契約書についても入念チェックし、売買後に不利益を被らないように書面上でできるケアは確実に行う必要があります。登記簿の見方一つをとっても、慣れていなければ難しいと感じることが多いでしょう。そこで実際に売買契約を締結する前の段階から、専門家に相談してアドバイスを受けながら取引をすることをお勧めいたします。些細な質問にでも丁寧にお答えいたしますので、不動産売買にあたって不安があれば、ぜひ当事務所にご相談ください。

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