相談例
私たち運送会社・運送事業者がコンプライアンスを遵守するためにも、企業法務も意識して体制を構築していきたいと思いますが、そのためには企業法務を意識することが重要だと指摘されました。
企業法務のポイントは何になるのでしょうか。
解説
企業法務の目的
企業法務とは、企業活動に関する法律事務を指します。
企業の活動領域が私たちの生活全般に行き渡り、また、急速なグローバル化が進む現代社会において、企業活動は私たちの日々の生活に大きな影響を与えています。
企業活動の拡大に伴い、企業活動に伴う法律問題もまた日々拡大しており、その法律相談のニーズは実に多種多様です。
顧客・業者等の外部取引先との契約交渉及び締結、グループ会社管理等、新スキームの検討及びそれに伴う新たな法的リスクの有無のチェック、顧客・取引先等とのトラブル・クレーム・訴訟等への対応等々…具体的な法律相談のニーズを挙げれば際限がありません。
このような多種多様な法律相談のニーズに応えることが、企業法務の目的といえます。
企業法務の目的は、究極的には、これら日々の企業活動に伴い不可避的に発生する法的リスクのコントロール(以下「コンプライアンスリスクマネジメント」といいます)こそにある、といえます。
企業法務の役割
コンプライアンスリスクマネジメントは、大きく「戦略法務」「予防法務」「臨床法務」の3つの見地から分類することができます。
これらはそれぞれ独立した場面で問題になるものの、相互に関連し、影響し合う関係にあります。
臨床法務 発病後の医師への相談・手術
「臨床法務」とは、法的リスクが現実化した際に、損失や悪影響を抑えるための法的対応をいいます。
病気になった後での医師への相談や手術のようなものであり、たとえば、取引先との契約書の履行・解釈をめぐってトラブルが生じた場合における対応への相談や、競合他社との訴訟や取引先倒産時における相談等が挙げられます。
予防法務 医師への健康相談・早期検診
「予防法務」とは、具体的なトラブルや損失が発生する前に法的リスクに対して必要な手当を講じることをいいます。
医師への健康相談や早期検診のようなものであり、法務担当者による契約書審査も予防法務の一つといえますし、法務担当者に限らず、社員の法務知識の向上・リーガルマインドの向上も重要な予防法務の一つです。
戦略法務 スポーツ医学
「戦略法務」とは、法務知識を意図的に営業推進等に活用していく積極的な法務対応をいいます。
具体的には、法令を遵守しつつ、その範囲で最大限自社に有利な新商品・新スキームを開発したり、既存の商品にはない、顧客にとってもメリットのある提案活動を行うことをいいます。
いうなれば、スポーツ医学のようなものであり、戦略法務の観点からは、契約書の交渉・締結においても、自社に有利な条項を積極的に盛り込むことが求められます。
ご相談のケースについて
- 企業法務は、目的と役割の2つの視点で整理しましょう。
- 企業法務の目的は、コンプライアンスリスクマネジメントにあります。
- 企業法務の役割は、①戦略法務、②予防法務、③臨床法務、の3つにあります。
このように、企業法務の役割は3つに分類することができます。
いずれの役割においても、対応を誤ってしまった場合、企業の存続にも影響しかねないほどの重大なリスクに発展しかねません。
コンプライアンスリスクマネジメントを適切に行うためには、これらの企業法務の3つの役割を理解した上で、3つの役割を担うことができる自社内外の法務組織をしっかりと育成していくことが必要になります。
運送会社・運送事業者であっても、より成長するための土台を築くためには、コンプライアンスを遵守することが必須です。
そして、コンプライアンスを遵守するためには、コンプライアンスリスク管理に長けた法律事務所の継続的なサポートが望ましいといえます。
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