| 企業は改正労働施策総合推進法に基づくハラスメント防止措置が法的義務となり、適切な対策を実施することで企業リスク回避と職場環境改善が実現します。 |
Q. ハラスメント防止法とは何ですか?企業にはどのような義務がありますか?
令和2年6月の改正労働施策総合推進法により、パワーハラスメント防止措置が企業の義務化されました。従来は努力義務でしたが、現在は法的義務として位置づけられています。この改正により、企業は職場におけるハラスメント防止に向けた組織的な対応が求められるようになりました。
東京都内の企業では、特に大企業だけでなく中小企業においても、この法的義務への対応が急務となっています。千代田区、中央区、港区などの都心の企業では、ハラスメント防止研修の実施状況が監督官庁(東京労働局)による調査対象となっており、不十分な対応は労働基準監督官による指導対象となります。
改正法で企業に課された主な義務は、以下の通りです。第一に、ハラスメントを行わないよう企業方針を明確化すること。第二に、管理監督者及び労働者に対する研修を実施すること。第三に、相談窓口を設置し、相談者に対して適切な対応を行うこと。第四に、事実確認後、被害者への対応と加害者への適切な処置を講じることです。
これらの措置を実施していない企業に対しては、東京労働局からの指導や是正勧告が出される可能性があり、企業の社会的信用低下につながる恐れもあります。
Q. 社内のハラスメント相談窓口をどのように設置すればよいですか?
相談窓口の設置は、単に窓口を作れば足りるのではなく、実際に相談が寄せられ、かつ適切に対応される体制を構築する必要があります。東京都内の企業では、人事部門が窓口となることが一般的ですが、労働者が相談しやすい環境づくりが重要です。
相談窓口の設置にあたっては、以下の点に注意が必要です。まず、相談窓口の存在と連絡先を全従業員に周知すること。社内掲示板、イントラネット、ハンドブックなどで明確に記載し、定期的に周知を更新することが求められます。次に、秘密保持の徹底です。相談者のプライバシー保護がなされていなければ、労働者は相談をためらう傾向にあります。
さらに、相談を受ける担当者に対する研修も実施すべき事項です。相談者の話を丁寧に聴取し、記録を適切に保管し、二次被害を防ぐための対応スキルが求められます。大規模企業においては、外部の相談機関(弁護士事務所やEAP(従業員支援プログラム)提供業者)との連携により、より専門的で中立的な対応が可能となります。
当事務所東京支所では、企業向けのハラスメント相談窓口設置に関するコンサルティングも行っており、千代田区の企業からのご相談に対応しています。
Q. ハラスメント防止研修は何をどのように実施すればよいですか?
企業方針の明確化と並んで、研修の実施は法的義務として位置づけられています。研修の対象は、管理監督者と全労働者です。両者では研修内容が異なり、管理監督者向けには、ハラスメント行為を認識し防止する責務、部下からの相談対応、ハラスメント発生時の報告義務などを含めることが重要です。
全労働者向けの研修では、ハラスメントの定義、企業が禁止している行為、相談窓口の利用方法、相談時の注意事項などを扱います。研修の実施方法としては、集合研修、eラーニング、動画視聴などが考えられます。東京都内の企業では、テレワーク導入の進展に伴い、オンライン形式での研修実施が定着しています。
重要な点は、研修を単に「実施した」という形式に留まらせるのではなく、参加者の理解度を確認し、研修内容が実際の職場で活用されているかを検証することです。実施後のアンケート調査、ハラスメント相談件数の推移、職場環境改善の度合いなどを定期的にモニタリングし、研修内容を改善していく必要があります。
外部の専門家(弁護士やハラスメント防止コンサルタント)による研修も有効であり、当事務所では企業のハラスメント防止研修講師務めも承っています。
Q. ハラスメント事案が発生した場合、企業はどのような対応をしなければなりませんか?
ハラスメント事案の報告を受けた場合、企業は迅速かつ適切に対応することが法的義務です。対応の流れとしては、まず事実確認が重要です。相談者からの聴取、加害者からの聴取、必要に応じて第三者からの聴取を行い、客観的な事実を把握する必要があります。この段階では、相談者のプライバシー保護と、加害者に対する適正な手続(弁明の機会を与えることなど)のバランスを取ることが求められます。
次に、事実確認の結果に基づいて、ハラスメント行為があったと認定された場合、加害者に対する適切な処置を講じることが必要です。処置の内容は、ハラスメント行為の内容・程度、加害者の過去の問題行動の有無、企業の懲戒基準などを総合的に考慮して決定されます。口頭注意、始末書提出、部門異動、減給、懲戒解雇など、段階的な対応が考えられます。
同時に、被害者に対しても、ハラスメント行為が認定されたこと、加害者に対する処置内容を適切に通知し、被害者の職場復帰のための支援を行うことが重要です。被害者が加害者と同じ職場で働くことが困難な場合、配置転換や部門異動なども検討する必要があります。
東京労働局による調査の際には、企業がどのような事実確認手続を経たか、どのような処置を講じたかが評価対象となります。不適切な対応は、是正勧告を受ける可能性があり、企業の社会的信用を損失させます。
Q. 東京都の独自条例によるハラスメント防止規定はありますか?
東京都は労働施策総合推進法の改正に先立つ平成28年に、「東京都性別による差別的取扱いの禁止等に関する条例」を施行しており、セクシャルハラスメントとマタニティハラスメントの防止について定めています。この条例では、事業主に対し、セクシャルハラスメント及びマタニティハラスメント防止のための必要な措置を講じることを義務付けています。
さらに、東京都は職場におけるハラスメント相談室を設置し、企業の相談担当者からの相談に対応しており、東京都内の企業は無料でこのサービスを活用することができます。東京労働局でも「職場のハラスメント相談ホットライン」が運営されており、労働者からの相談に対して相談員が助言を行う体制が整備されています。
企業が東京都の条例及び通達の内容を把握していない場合、法的義務の履行が不十分となるリスクがあります。当事務所東京支所では、東京都の最新の法令改正に対応したコンサルティングを行っており、企業のハラスメント防止体制の整備についてアドバイスを提供しています。秋葉原駅近くの東京支所に、ご相談いただければ、東京の法的要件に対応した対策をご提案させていただきます。
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