| 未払い残業代請求に対応するためには、労働時間の適正な管理と固定残業代制度の有効性確保が重要です。無理な対応は多額の賠償につながります。 |
Q. 企業が未払い残業代を請求されるリスクはどの程度ですか?
近年、未払い残業代請求は企業にとって大きなリスクとなっています。以下のような事実があります。
- 第一に、請求額が大きい可能性です。残業代は通常賃金の1.25倍(時間外労働)から1.5倍(深夜労働)であり、これが複数年にわたる場合、請求額は数百万円から数千万円に達することがあります。
- 第二に、集団請求のリスクです。一人の従業員からの請求に続き、他の従業員からも同様の請求がなされる可能性があります。これにより、会社の経営が危機的状況に陥る可能性があります。
- 第三に、付加金の問題です。裁判所は、未払い残業代のほか、「付加金」(未払い額と同額)を命じることができます。つまり、未払い残業代が100万円であれば、合計200万円の支払いが必要になる可能性があります。
- 第四に、社会的評価の低下です。未払い残業代問題は報道されやすく、会社の社会的評価が低下し、採用活動にも支障をきたす可能性があります。
東京都内では、労働基準監督署の指導が厳しく、未払い残業代問題が発覚しやすい環境です。企業は積極的に防御体制を整える必要があります。
Q. 固定残業代制度とは何ですか?有効性の要件は?
固定残業代制度とは、あらかじめ定められた残業時間に対する残業代を、基本給に含めて支払う制度です。
固定残業代制度の仕組みは以下のとおりです。例えば、月給30万円の契約に「月20時間分の残業代5万円を含む」と定めた場合、月給30万円のうち5万円が残業代に該当します。実際の残業がこれを超えた場合、超過分の残業代を別途支払う必要があります。
固定残業代制度が有効であるための要件は、以下のとおりです。
- 第一に、明確な定めです。固定残業代額、対象となる残業時間が明確に定められていることが必要です。曖昧な定め方は無効と判断されます。
- 第二に、説明と同意です。導入時に従業員に対して、制度の内容について十分に説明し、同意を得ることが重要です。一方的な導入は無効と判断されやすいです。
- 第三に、基本給との明確な区別です。固定残業代が基本給と区別されて明記されていることが必要です。基本給に紛れていると、無効と判断される可能性があります。
- 第四に、超過分の支払いです。実際の残業がこれを超えた場合、超過分の残業代を別途支払う義務があります。これを怠ると、制度全体が無効と判断される可能性があります。
東京の裁判所では、固定残業代制度を厳格に審査する傾向があります。形式的に導入しているだけでは、訴訟で無効と判断される可能性があります。
Q. 労働時間管理の適正化にはどのような対策が必要ですか?
企業は、以下のような対策により労働時間の適正な管理を実現する必要があります。
- 第一に、勤務時間記録システムの導入です。タイムカード、PCログイン・ログアウト時刻、生体認証など、客観的な方法で労働時間を記録することが重要です。
- 第二に、残業申請制度の運用です。残業を行う場合、事前に上司の承認を得て、その内容を記録する制度を導入することが重要です。これにより、不必要な残業を抑制できます。
- 第三に、給与計算システムの精度です。記録された労働時間から正確に残業代を計算するシステムを導入することが重要です。手計算による誤り、計算漏れは避けるべきです。
- 第四に、管理職の教育です。管理職が労働基準法を理解し、部下の労働時間を適正に管理することが重要です。部下に違法な残業をさせる管理職の存在は、会社全体のリスクになります。
- 第五に、定期的な監査です。労働時間管理の適正性を定期的に監査し、問題があれば修正することが重要です。
- 第六に、36協定の締結です。法定労働時間を超える残業を行う場合、労使協定(36協定)の締結が法律で定められています。これを怠ると違法となります。
東京支所では、企業の労務管理システムについて、コンサルティングを行うことが可能です。
Q. 未払い残業代請求を受けた場合の対応方法は?
未払い残業代請求を受けた場合の対応方法は、以下のとおりです。
- 第一に、弁護士への早期相談です。請求を受けた段階で、すぐに弁護士に相談することが重要です。対応を誤ると、企業の責任が拡大する可能性があります。
- 第二に、証拠の収集です。労働時間記録、給与計算資料、雇用契約書、就業規則など、関連する証拠を収集します。
- 第三に、請求内容の検証です。請求額の計算が正確か、請求対象となる期間が適正か確認します。不正な請求であれば、その旨を指摘することが重要です。
- 第四に、固定残業代制度の検証です。制度が有効に機能しているか、その有効性を検証します。有効であれば、超過分のみの支払いで対応可能です。
- 第五に、示談交渉です。企業に明らかに責任がある場合、示談による解決を検討することが現実的です。訴訟に至ると、弁護士費用を含め、経済的負担が大きくなります。
- 第六に、訴訟対応です。示談に応じない場合、訴訟に移行します。この場合、弁護士のサポートが必須です。東京地方裁判所での訴訟対応が必要な場合、当事務所が対応可能です。
- 第七に、再発防止策の実施です。今後同様の問題を防ぐため、労務管理システムの改善が必要です。
未払い残業代問題は、企業経営に大きな影響を与えます。早期の予防と、問題発生時の適正な対応が重要です。
Q. 企業側の防御における論点と戦略は何ですか?
未払い残業代請求に対する企業側の主な防御論点と戦略は、以下のとおりです。
- 第一に、労働時間の認定です。従業員が主張する労働時間が、実際の労働時間か否かを争点にします。タイムカード、PCログなど、客観的証拠により、企業の記録が正確であることを示すことが重要です。
- 第二に、固定残業代の有効性です。固定残業代制度が適正に導入されていれば、その有効性を主張します。これにより、超過分のみの支払いで対応可能です。
- 第三に、裁量労働制の適用です。適用要件を満たす場合、裁量労働制の適用により、残業代請求を避けることができます。ただし、要件充足の立証が厳格に審査されます。
- 第四に、消滅時効の主張です。残業代請求権は3年(または一部5年)の消滅時効に服します。時効期間経過分については、支払義務がないことを主張できます。
- 第五に、過失相殺です。従業員が不必要な残業を行った場合、その責任を問う主張も考えられます。ただし、認められる可能性は低いため、主要な防御論点としては期待できません。
- 第六に、示談による減額です。訴訟リスクを避けるため、請求額の一部支払いにより示談を成立させることも戦略の一つです。
東京地方裁判所での訴訟においては、企業側の労務管理体制が厳格に審査されます。適正な体制が整っていることが、企業側の勝訴の基礎となります。当事務所では、企業側の防御戦略について、具体的なアドバイスが可能です。
弁護士法人長瀬総合法律事務所 東京支所のご案内
弁護士法人長瀬総合法律事務所は、令和8年4月1日に東京支所を開設しました。所在地は東京都千代田区岩本町3-4-5 第一東ビル803号室です。秋葉原駅・岩本町駅から徒歩圏内に位置し、東京地方裁判所、東京家庭裁判所をはじめとする東京都内の各裁判所や行政機関へのアクセスが良好です。
当事務所は、個人の方の法律問題から企業法務まで幅広い分野を取り扱っており、東京支所においても従来と同様のサービスを提供しています。東京都内にお住まいの方、東京都内に事業所を有する企業の皆様からのご相談をお待ちしています。
お問い合わせ
本記事の内容に関するご相談は、弁護士法人長瀬総合法律事務所 東京支所までお気軽にお問い合わせください。
- 電話番号:03-5809-1128
- 所在地:〒101-0032 東京都千代田区岩本町3-4-5 第一東ビル803号室
ご相談の予約は、お電話にて承っています。まずはお気軽にご連絡ください。
リーガルメディアTV|長瀬総合YouTubeチャンネル
弁護士法人長瀬総合法律事務所では、様々な分野の法的問題を解説したYouTubeチャンネルを公開しています。ご興味をお持ちの方は、ぜひこちらのチャンネルのご視聴・ご登録もご検討ください。
NS News Letter|長瀬総合のメールマガジン
当事務所では最新セミナーのご案内や事務所のお知らせ等を配信するメールマガジンを運営しています。ご興味がある方は、ご登録をご検討ください。
ご相談はお気軽に|全国対応
長瀬総合法律事務所は、お住まいの地域を気にせず、オンラインでのご相談が可能です。あらゆる問題を解決してきた少数精鋭の所属弁護士とスタッフが、誠意を持って対応いたします。
トラブルを未然に防ぐ|長瀬総合の顧問サービス
企業が法的紛争に直面する前に予防策を講じ、企業の発展を支援するためのサポートを提供します。
複数の費用体系をご用意。貴社のニーズに合わせた最適なサポートを提供いたします。


