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測量士の役割と測量費用の相場

はじめに

土地を売買・分筆・境界確定したいときには、正確な測量が欠かせません。境界紛争や越境問題などを解決する際にも、事実関係をはっきりさせるために測量が必要となることが多いです。その専門家が「測量士」であり、測量の結果に基づいて正しい図面を作成し、境界標の設定などを行います。本稿では、測量士の役割と測量費用の相場、注意点などを解説します。

Q&A

Q1.測量士とは、どのような資格なのですか?

測量士は、国土交通省が管轄する国家資格です。地上・海上・航空測量などの技術を用いて、土地の位置や形状、高低などを図面に反映する専門家です。境界紛争や分筆登記などで、土地家屋調査士と連携して作業することが多く、正確な測量と図面作成によって不動産の現況を示す重要な役割を担います。

Q2.どんなときに測量士に依頼するのでしょうか?

一般的には以下の場合に測量士へ依頼します。

Q3.測量費用はどれくらいかかるのですか?

測量費用は土地の面積・形状・地形の複雑さ・境界標の数・隣地所有者との協議数などによって大きく変動します。都会の狭小地でも隣地が多いと費用がかさむことがあります。複数の測量士から見積りを取り、内容を比較検討することが重要です。

Q4.測量士と土地家屋調査士はどう違うのでしょうか?

測量士は広範な測量技術を持ち、地形図や路線測量、公共測量などを行う資格です。一方で、土地家屋調査士は主に不動産登記に関する測量や境界確定、登記申請代理などを行う国家資格です。ただし、両資格を兼ねている方や密接に連携して業務を行う場面が多いため、実際には協力して測量と登記を進めることが少なくありません。

Q5.測量の結果に隣地所有者が納得しない場合はどうしたらいいですか?

測量で得られた結果はあくまでも客観的データですが、隣地所有者が合意しない場合は協議や筆界特定制度、民事調停・裁判で境界を確定する流れがあります。最終的には裁判所が境界を認定することになり、そこで測量士の報告や測量図が証拠として役立ちます。

解説

測量士の主な役割

  1. 現地測量
    地形や境界標、道路・河川など周辺環境を踏まえて、トラバース測量やGPS測量、三角測量などを駆使し、正確な図面を作成します。
  2. 境界確定の補助
    隣地所有者との立会いに同席し、技術的根拠に基づいて境界案を提示します。筆界特定制度や調停において、測量士の意見が境界線判断の根拠となることも多いです。
  3. 地図・図面作成
    実測データを基に、地積測量図や現況図を作成します。これらの図面は法務局への登記申請(地積更正登記、分筆登記など)の添付資料となるため、専門知識が必要です。
  4. 公共測量や大規模開発
    道路や橋梁などの公共事業に際して、路線測量や用地買収のための境界確認、造成計画のための地形図作成などを行います。

測量費用の構成要素

  1. 現地測量の難易度
    地形が複雑、山林や急斜面、川が近いなどで測量手間が増えれば作業コストが上がります。
  2. 境界標の数・隣地筆数
    隣接する土地が多いほど立会い回数が増え、調整に時間がかかる分費用が増加。
  3. 書類作成・図面編集
    CADソフトなどを使い、正確な測量図面を作成する作業には専門技術と時間が要ります。
  4. 対人交渉・立会い回数
    紛争リスクがある案件や、隣地所有者が多数にわたる場合、交渉・立会いの回数が増えコストに反映される場合がある。

実務上の注意点

  1. 複数の測量士から見積取得
    同じ測量内容でも、事務所ごとに費用体系が異なることがあります。見積書には「何にいくらかかるのか」を細かく記載してもらい、比較検討すると明瞭です。
  2. 境界トラブル前提の場合は弁護士と連携
    紛争案件では、法的観点を踏まえた証拠保全や書類作成が必要になります。弁護士と測量士が連携することで、早期解決と適切な証拠の確保が可能です。
  3. 測量図の保管と活用
    作成した測量図は後日の紛争予防にも役立つため、原本や電子データをしっかり保管しておきます。公的登記の際にも大いに活用できます。

弁護士に相談するメリット

  1. 測量前後の紛争リスク管理
    境界確定を前提に測量を依頼する場合、隣人が異議を唱える可能性があります。弁護士が法的手続きを見据えて測量の進め方をアドバイスし、後日裁判に発展しても優位に進めるよう証拠保全を行えます。
  2. 契約・費用トラブルの予防
    測量費用は大きな額になる場合があり、誰がどのように負担するかで揉めることもあります。弁護士が事前に契約書や覚書を整え、費用負担のルールを明確にすることでトラブルを回避できます。
  3. 紛争時の代理対応
    測量結果に納得しない隣地所有者と意見が対立した場合、弁護士が代理人として交渉し、調停・裁判での境界確定判決を得るなど、法的に強固な解決を目指せます。
  4. 弁護士法人長瀬総合法律事務所の経験
    当事務所(弁護士法人長瀬総合法律事務所)は、境界紛争・測量案件での調整や法的手続きをサポートしてきました。測量士との連携で、技術面と法的リスクを両面から検討し、安心・確実な解決へ導きます。

まとめ

測量は土地の現況と法的権利を結びつける最初のステップです。精度が低い測量や不充分な調整は後に問題を招きかねません。しっかりとプロと連携し、正確な測量と法的根拠を基に土地を管理・活用することが、紛争予防のカギとなります。


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