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個人再生における偏頗弁済のリスクと対策

はじめに

個人再生は、借金を大幅に減額できる救済制度として、多くの債務者に利用されています。しかし、手続きの中で注意しなければならない点がいくつかあります。その一つが「偏頗弁済(へんぱべんさい)」です。特定の債権者に優先的な返済を行うことは原則禁止されており、これを行うと手続きが進まなくなるリスクがあります。本稿では、個人再生手続きにおける偏頗弁済のリスクと、未然に防ぐための具体的な対策を解説します。

Q&A

Q: 個人再生中に家族にお金を返済しましたが、その後返済額が増えると弁護士に言われました。なぜですか?

個人再生の手続きでは「債権者平等の原則」が適用されます。この原則に反して、特定の債権者に優先して返済を行う行為を「偏頗弁済」と呼びます。家族への返済も例外ではなく、偏頗弁済とみなされる可能性があります。偏頗弁済を行うと、返済額が増加するほか、手続きが中断または無効になる場合があります。

個人再生とは?

個人再生は、裁判所を通じて借金を大幅に減額し、減額後の金額を3~5年で分割返済する制度です。主に給与所得者や個人事業主が利用することが多く、家計を再建するための手続きです。

個人再生のメリット

返済額の基準

借金総額や所有する財産に応じて、最低返済額が決定されます。

個人再生における偏頗弁済とは?

「偏頗弁済」とは、特定の債権者に優先して返済を行う行為を指します。個人再生では、債権者を平等に扱う「債権者平等の原則」が求められるため、偏頗弁済は原則として禁止されています。

偏頗弁済の具体例

なぜ偏頗弁済が問題なのか?

偏頗弁済を行うと、債権者間の公平性が失われます。そのため、裁判所は偏頗弁済を重く見て、再生計画案を認めない場合があります。

偏頗弁済のリスク

偏頗弁済を行うと、以下のリスクがあります。

1. 返済額が増加する

偏頗弁済を行った金額は、本人の「清算価値」に加算されます。たとえば、個人再生で通常100万円に減額される予定だった借金が、偏頗弁済額200万円を加算されることで最低300万円に引き上げられる可能性があります。

2. 手続きが中断または無効になる

偏頗弁済が発覚すると、再生計画案が認められない場合があります。再生計画案とは、借金減額後の返済計画をまとめたものであり、偏頗弁済を無視した計画案は裁判所や債権者から却下される可能性があります。

3. 信用失墜

手続き中に偏頗弁済を行うことで、裁判所や債権者からの信用を失い、個人再生以外の手段を模索せざるを得ない場合があります。

偏頗弁済に陥らないための対策

偏頗弁済を避けるためには、次のような対策を講じる必要があります。

1. 弁護士に早期相談する

手続きに詳しい弁護士に早めに相談することで、偏頗弁済を未然に防ぐことが可能です。弁護士は、債権者平等の原則を守りつつ手続きを進めるためのアドバイスを提供します。

2. 支払いを控える

個人再生の申し立て前後には、特定の債権者への返済を控えることが重要です。必要な支払い(住宅ローンや税金など)については、弁護士に確認しましょう。

3. 家計収支の記録を整理する

家計収支表や通帳履歴が手続きで重要な資料となります。これらを整理して、不自然な出金や送金がないように管理しましょう。

4. 偏頗弁済とみなされない支払いを知る

偏頗弁済とならない例として、税金、光熱費の支払いなどがあります。

弁護士に相談するメリット

偏頗弁済のリスクを回避し、個人再生手続きを円滑に進めるためには、弁護士のサポートが欠かせません。

メリット1: 手続きの正確性向上

弁護士は裁判所や債権者とのやり取りを代行し、偏頗弁済の疑いがないよう適切に手続きを進めます。

メリット2: リスクの早期発見

弁護士は偏頗弁済のリスクを迅速に見極め、適切な対応策を提案します。

メリット3: 心理的負担の軽減

専門家に手続きを任せることで、債務者自身が感じる心理的負担を軽減できます。

まとめ

個人再生は、多重債務問題を解決する有効な方法ですが、「偏頗弁済」の問題には十分注意する必要があります。偏頗弁済を行うと、返済額の増加や手続きの中断といった重大なリスクが生じます。これを防ぐためには、弁護士への早期相談や、適切な手続きの実行が重要です。

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