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カウンセラーの法的リスクとその対処法

はじめに

Q: カウンセリング業務に関して、法的なトラブルが心配です。どんなことに注意すればいいでしょうか?

A: 産業カウンセラーの業務では、相談者の心のケアが最優先ですが、法的な責任が問われるケースも考えられます。本稿では、具体的な事例を交えながら、カウンセラーとしての責任やトラブル予防のポイントについて解説します。

産業カウンセラーとして活動する中で、従業員や相談者の問題に深く関わる機会が増えています。しかし、その過程で思いもよらない法的トラブルに巻き込まれる可能性も否定できません。

カウンセリングに起因する法的トラブル例

事例1: 自傷行為に至った相談者との関係

ケース概要

カウンセラーAが企業内で従業員Cにカウンセリングを行いました。Cは不眠などの症状を訴えており、Aは病院受診や環境調整を勧めました。しかし、その後Cは連絡を絶ち、自傷行為に及んでしまいました。

このような場合、カウンセラーが法的責任を問われる可能性があります。責任の有無は以下の視点から検討されます。

  1. 自傷行為を予見できたか
  2. 適切な対応を尽くしたか

事例2: 守秘義務とリスク回避の板挟み

守秘義務を尊重しつつも、相談者に自傷行為のリスクが見られる場合、情報共有や他の機関への通報が必要になる場合があります。相談者本人の同意を得られない場合、法的リスクが複雑化します。

カウンセラーの責任と義務

1.予見可能性と対応義務

法律では、カウンセラーが特定のリスクを予見できる立場にあった場合、それを防ぐための合理的な措置が求められます。ただし、予見可能性は事実関係に基づいて判断されます。例えば、相談内容や相談者の行動が具体的に示すリスクがあれば、病院受診や周囲への注意喚起が必要です。

2.守秘義務とその例外

カウンセラーには守秘義務がありますが、例外的に第三者の生命や身体の安全が危険にさらされる場合、情報開示が許されることがあります。この場合の判断には専門家の助言が欠かせません。

根拠条文

法的トラブルを防ぐためのポイント

1. 業務範囲と責任を明確化する契約書の作成

カウンセラーとしての業務範囲や相談者との責任分担を明文化することで、トラブル時の対応がスムーズになります。

2. 正確な記録の保持

カウンセリング内容や相談者の状態を正確に記録することで、後の証拠として活用できます。

3. 定期的な法務研修の受講

法的知識をアップデートすることで、適切な判断力を養うことができます。

弁護士に相談するメリット

弁護士への相談は、以下の点で重要な役割を果たします。

まとめ

産業カウンセラーの活動には、相談者との信頼関係が不可欠です。一方で、法的トラブルを避けるためには、適切な対応と記録の保持が必要です。万が一トラブルが発生した場合は、専門の弁護士に相談することもご検討ください。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、産業カウンセラーの皆様を法的側面からサポートします。

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