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出勤停止処分を行う際の注意点

はじめに

出勤停止処分は、就業規則違反など従業員に対する懲戒処分の一つであり、企業側が使用する際には適切な手続きと法的根拠が求められます。この処分は、従業員に対して重い影響を及ぼすため、使用にあたっては慎重な対応が必要です。本稿では、出勤停止処分の概要、実施基準、そして出勤停止中の給与の扱いなどについて解説します。

Q&A

Q1:出勤停止とは何ですか?

A1:出勤停止とは、従業員が就業規則違反などの理由で懲戒処分を受け、一定期間会社に出勤することを禁止される処分です。給与の不支給も伴うことが多く、非常に重い処分となります。以下では出勤停止が適切に行われるための注意点や手続きについて解説いたします。

Q2:出勤停止と自宅待機の違いは何ですか?

A2:出勤停止は懲戒処分の一環であり、従業員の責任に基づいて行われる処分です。給与は支払われません。一方、自宅待機は業務命令として行われるもので、従業員の落ち度がない場合に命じられ、給与は原則支払われます。具体的な対応は企業の就業規則や労働契約に依存しますが、両者の性質は明確に異なります。

出勤停止の定義と概要

出勤停止とは、従業員が就業規則違反などの落ち度があった場合に、制裁として出社を禁止する懲戒処分です。この処分は、従業員にとって、社会的な影響や昇進への不安、給与不支給など、精神的・経済的な打撃を伴うことが多く、非常に重い処分とされています。

自宅待機との違い

自宅待機と出勤停止はよく混同されますが、明確な違いがあります。自宅待機は業務命令として会社が従業員に命じるものであり、従業員に責任がない場合でも発令されることがあります。この場合、給与は原則支給されるのに対し、出勤停止は懲戒処分であり、従業員の落ち度に基づくため給与は支払われません。

出勤停止 自宅待機
懲戒処分 業務命令
給与は支払われない 給与は支払われる
従業員の責任に基づく 従業員の責任を問わない

出勤停止の給与扱い

企業は、通常の業務を行っている従業員に対して給与を支払う義務がありますが、出勤停止処分を受けた従業員に対しては、「ノーワーク・ノーペイ」の原則により、給与支払義務はありません。従業員が有給休暇を申請した場合も、企業側が応じる義務はありません。

出勤停止処分の判断基準

出勤停止処分を適用するにあたっては、労働契約法第15条が規定する合理性と社会通念上の相当性を基に判断されます。つまり、出勤停止を命じるには、従業員の行為が就業規則に明記されている懲戒事由に該当し、それが客観的に合理的かつ相当な理由に基づくものでなければなりません。

1.懲戒処分の規定の有無

出勤停止は懲戒処分の一つであるため、企業の就業規則に明確に規定されていなければなりません。この規定がない場合、出勤停止を命じることはできません。

2.行為の該当性

従業員の行為が、出勤停止処分を定めた懲戒事由に該当するかどうかを慎重に検討する必要があります。また、私生活に関わる行為が会社の秩序に悪影響を与えていない場合、その行為は懲戒事由に該当しない可能性もあります。

出勤停止となる行為

出勤停止処分は、軽微な就業規則違反が繰り返された場合や、悪質なハラスメント、会社の信用を著しく失墜させる行為などに対して行われます。具体的な処分の範囲は企業によって異なりますが、以下のような懲戒処分が存在します。

出勤停止を行う際の注意点

1.適切な手続き

出勤停止処分を行う場合、事前に懲戒処分の規定を就業規則に記載しておくことが重要です。また、懲戒処分に該当する行為を慎重に判断し、適切な手続きを踏む必要があります。

2.就業規則の確認

事前に、どのような行為が懲戒処分の対象になるかを明確にし、従業員が理解している状態にしておくことが必要です。就業規則の不備は、法的な問題を引き起こす可能性があるため、定期的な見直しを行いましょう。

弁護士に相談するメリット

出勤停止処分は、従業員にとって重大な影響を及ぼすため、法的トラブルに発展することも少なくありません。弁護士に相談することで、適切な手続きを確認し、リスクを最小限に抑えることができます。弁護士法人長瀬総合法律事務所は、企業の労務管理を法的観点からサポートし、最適な対応策をご提案します。

まとめ

出勤停止は、企業が従業員に対して行う重い懲戒処分です。給与の不支給や法的手続きの厳格さを伴うため、適切な対応が求められます。弁護士法人長瀬総合法律事務所は、企業が安心して懲戒処分を行えるよう、法的支援を提供しています。

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