事業承継の重要性とその具体的な進め方のポイント
Q&A
Q: 事業承継について準備を進める必要があるとよく耳にしますが、どのように始めたらよいのでしょうか?
A: 経営者の皆様が事業承継に関心を持つことは非常に重要です。特に中小企業では、先代から受け継いだ事業を次の世代にスムーズに引き継ぐために、しっかりとした準備が求められます。具体的には、後継者の選定や教育、税負担の軽減、事業用財産の管理といったステップを計画的に進めていくことが大切です。この記事では、事業承継の現状とその進め方について詳しく解説していきます。
はじめに
事業承継は、単に会社を次の世代に引き渡すだけでなく、経営理念や企業文化、さらには従業員や取引先との信頼関係をも引き継ぐ重要なプロセスです。しかし、多くの経営者が事業承継の準備不足や、後継者選びに関する困難さに直面しており、これが企業経営の大きな課題となっています。本記事では、事業承継をスムーズに行うための基本的な考え方と具体的な方策について解説します。
事業承継の現状と課題
1. 事業承継の現状
中小企業庁の事業承継ガイドラインによると、現在の中小企業では、親族内で後継者を確保することが困難なケースが増加しています。その結果、親族外からの後継者を選定する企業が増えており、これに伴う社内外の調整が必要となっています。
さらに、従来の「同族経営」の考え方から、後継者選びにおいては経営能力や将来性を重視する企業が増えており、親族以外の社員や外部からの登用も視野に入れられることが多くなっています。
2. 事業承継の課題
事業承継を成功させるためには、次の課題に対処することが求められます。
- 後継者選びと教育:後継者選定の難しさと、選定後の育成プランの策定。
- 株主や従業員との調整:親族や従業員との合意形成が不十分だと、事業承継が円滑に進まない可能性が高い。
- 税負担の軽減:相続税や贈与税の対策を行わずに事業承継を行うと、経営基盤が脆弱化する恐れがある。
- 資金調達の確保:事業を引き継ぐためには、十分な資金を確保することが不可欠。
事業承継の具体的ステップ
ステップ1: 事業承継の準備
事業承継の準備は、経営者が60歳を超えたころから始めることが望ましいとされています。まずは、会社の経営状況や課題を把握し、現状分析を行うことが重要です。その上で、事業承継の時期や引き継ぐ内容、後継者の選定について計画を立てます。
ステップ2: 経営状況と課題の把握
事業承継を行う際には、会社の現在の経営状況や課題を明確にし、それに基づいて事業承継の方法や時期を検討することが求められます。この段階で、事業を引き継ぐことにより生じるリスクや経営の方向性を見直すことも必要です。
ステップ3: 経営改善と財務状況の健全化
業績が悪い場合や財務状況が不安定な場合は、事業承継前に経営改善を図る必要があります。これには、民事再生手続きや私的整理といった法的手段の活用も含まれます。財務体質を強化することで、後継者が安定した経営を行えるよう準備を整えましょう。
ステップ4: 後継者の選定と教育
事業承継の最も重要な要素は「後継者選び」と「後継者教育」です。後継者を選ぶ際には、単に親族だからという理由ではなく、事業を維持・発展させるための能力や意欲を持った人物を選定することが必要です。さらに、後継者教育として、社内外での経験を積ませ、経営者としての素養を身につけさせることが重要です。
事業承継に向けた方策
1. 後継者以外の者との調整
後継者選びと並行して、親族や従業員との調整を行うことも重要です。特に親族内での承継の場合、後継者となる親族以外の人々にも納得してもらうことが大切です。また、従業員に対しては、後継者が選ばれた経緯や今後の方針を説明し、理解を得ることが求められます。
2. 財産承継時の税負担の軽減
財産承継に際しては、次の制度を活用することで、税負担を軽減できます。
- 暦年贈与
- 相続時精算課税贈与
- 非上場株式等についての相続税及び贈与税の納税猶予・免除制度
- 小規模宅地等の課税価格の特例
これらの制度は、事業の規模や形態、財産の種類に応じて選択することが求められます。
3. 事業用財産の分散防止
事業用財産が分散してしまうと、会社の経営基盤が不安定になる恐れがあります。そのため、財産の分散を防ぐ方策として、贈与や売買、遺言や信託の活用を検討することが重要です。
4. 債務・保証・担保の承継
債務の承継については、金融機関との調整を行い、承継者がスムーズに経営を引き継げるようにすることが求められます。また、可能であれば、債務を減少させることで、事業を承継しやすい環境を整えましょう。
事業承継における弁護士に相談するメリット
事業承継は、法務や税務、財務といった様々な分野の知識を必要とするため、弁護士や税理士といった専門家への相談が重要です。弁護士に相談することで、法的リスクの回避や、複雑な相続・贈与の手続きをスムーズに行うことが可能となります。また、当事務所では他士業と連携し、総合的なサポートを提供していますので、ぜひご活用ください。
まとめ
事業承継は、企業の存続と発展を左右する重要なプロセスです。後継者選びから財産承継、税負担の軽減、社内外の調整まで、事前にしっかりと計画を立てることが求められます。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、事業承継に関する様々な問題に対応し、企業の将来を見据えたサポートを提供しています。まずはお気軽にご相談ください。
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