会社破産後の事業継続について – 個人事業主として再出発する可能性
はじめに
会社が破産した後、経営者として事業を継続できるのかという点は多くの企業家が直面する重要な問題です。倒産による経済的ダメージは大きいですが、破産後も事業を継続する可能性が全く無いわけではありません。本稿では、会社が破産した後に個人事業主として再出発する可能性について、具体的なケースや法的根拠を挙げながら解説していきます。
Q&A
Q: 会社が破産した場合、経営者として再び事業を始めることは可能ですか?
A: 破産した会社の事業資産は処分されますが、個人事業主として再び事業を開始することは不可能ではありません。裁判所が認める場合や、自己破産後に自由財産を利用するなどの方法があります。ただし、破産により信用情報が損なわれるため、新規の融資を受けることが難しくなる点に注意が必要です。
破産後に事業を継続できるケース
会社が破産しても事業を続けられる可能性
会社が破産すると、基本的にその会社の事業資産はすべて処分され、会社としての事業は停止されます。しかし、これが必ずしも事業の完全な終了を意味するわけではありません。特定の条件下では、経営者が個人事業主として事業を継続することが可能です。
破産法の原則:事業廃止
破産手続きでは、破産者の財産は「破産財団」に組み入れられ、その管理・処分は破産管財人に委ねられます。この財団には、事業に使用していた機械や在庫なども含まれます。したがって、通常は破産者がこれらの財産を自ら使用したり売却したりすることができず、事業を継続することが難しくなります。しかし、破産法第36条によると「裁判所の許可を得た場合、破産管財人が事業を継続できる」とされています。このため、例外的に事業継続が認められる場合もあります。
事業を継続できる具体的な場合
会社が破産すると、その法人格は消滅し、会社として事業を行うことはできなくなります。しかし、例えば個人事業主が自己破産した場合には、「自由財産」という処分されない財産を使って事業を続けることが可能です。また、法人破産の場合でも、経営者が個人的に財産を保有していたり、親族の援助を受けて必要な事業資産を破産管財人から買い戻すことで、破産手続き後に個人事業主として再び事業を始めることも考えられます。
融資の困難さ
破産手続きを経た経営者は、信用情報に「破産」が登録されるため、新たな融資を受けることが非常に困難です。特に金融機関からの新規融資はほぼ不可能と考えてよいでしょう。そのため、融資に頼らずに事業を再開できるかどうかが、事業継続のカギとなります。破産後の事業運営においては、自己資金や第三者からの支援が重要な役割を果たします。
弁護士に相談するメリット
破産手続きにおける法的手続きやその後の事業継続に関する判断は、非常に複雑です。そのため、専門家である弁護士に相談することで、次のようなメリットが得られます。
- 正確な法的アドバイス:破産法の適用や事業継続の可能性について、個別の状況に応じた適切なアドバイスを提供します。
- 手続きのサポート:破産手続きの進行をスムーズにするためのサポートや、必要な書類の作成を支援します。
- 事業再生の戦略提案:自己破産後にどのように事業を再生するか、具体的な戦略を提案し、リスクを最小限に抑える方法をアドバイスします。
弁護士法人長瀬総合法律事務所では、事業者の立場に立った法的支援を提供しています。破産手続きの複雑さや事業継続の可能性について、ぜひ一度ご相談ください。
まとめ
会社が破産した後でも、個人事業主として再び事業を続ける道が完全に閉ざされているわけではありません。破産法の規定や自由財産の利用、または家族からの支援を通じて事業を再開することが可能な場合があります。ただし、破産後の信用情報の影響を考慮し、慎重に再出発の計画を立てることが重要です。破産後の事業継続に関して不明な点がある場合は、お早めに専門家へ相談することをご検討ください。
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