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契約書の当事者名のルール

ポイント

  1. 当事者名の表記にはルールがない
  2. 当事者の誤記は契約書の内容にも深刻な影響を及ぼすおそれがある
  3. 当事者名の表記をチェックするために、あえて略称を使用しないこともあり得る

契約書の当事者名の表記に関するルール

契約書における当事者名の表記についても、契約書のタイトルと同様、「こうしなければならない」というルールはありません。一般的には「甲」「乙」「丙」などと表記する例が多いですが、もちろん「株式会社●●●」「○○○合同会社」と表記しても構いません。

当事者名の誤記の影響

もっとも、明らかに当事者の一方をとり間違えて記載している条項を見受けることもあります(契約書冒頭の「甲」「乙」と、末尾の署名欄の「甲」「乙」が逆になっているケースも散見されます。)。

また、実務上は、ある特定の条文に関して、「甲」と「乙」を入れ違えて記入してしまっていると思われる契約書をみることもあります。当事者名を入れ違えて作成してしまう原因としては、一括変換をした際に見落としてしまったり、複数回のレビューを行っているうちに誤読してしまったりすることなどが考えられます。

このような当事者名の誤記と疑われるケースであっても、契約当事者双方が記名押印した場合には、原則として有効に成立したものと考えられるため、深刻な影響を及ぼすおそれもあります。

契約書の条項が10条程度しかないような比較的分量の少ないものであればチェックも容易ですが、数十条、数十頁に及ぶような大部の契約書のチェックとなると、当事者名の誤記がないかを検討することもかなりの負担となります。

当事者名の誤記を防ぐために

当事者名の明らかな誤記を防ぐためには、あえて「甲」「乙」などの略称を使用せず、当事者名をそのまま使用することも一案といえます。

たとえば「長瀬株式会社」であれば契約書中の当事者名を「長瀬」として簡略化して記載したりするほか、消費貸借契約であれば「貸主」と「借主」と表記したりする等、当事者名の表記と当事者の役割の関係を明確化して記載するといった工夫をすることも考えられます。

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