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運送会社・運送事業者におけるコンプライアンスリスクとは

相談例

運送会社・運送事業者では、労務トラブルだけでなく、取引業者とのトラブルや、行政ルール違反などを犯していないかどうか等の悩みが絶えません。

「コンプライアンス」が重要だと指摘されることもありましたが、「コンプライアンス」とは具体的に何を指しているのか、またどのような点に意識すればよいでしょうか。

解説

運送業界では、運送業界を取り巻く労務環境を改善していくことは、人手不足・高齢化を防ぐだけでなく、コンプライアンス経営を確立することにも繋がります。

コンプライアンス経営を確立することの重要性を認識するためにも、そもそもコンプライアンスとは何を指すのか、ということから整理する必要があります。

コンプライアンスとは

コンプライアンスとは、「法令遵守」と和訳されることがあり、法令(法律)を守ることが求められる、と捉えられることがあります。

コンプライアンスは、法令を遵守することも求められる以上、この和訳も誤りではありませんが、現在は、コンプライアンスの定義はより広義の意味で解釈されています。

具体的には、コンプライアンスとは、法令等遵守と定義されています。

コンプライアンスとは、単なる法令遵守にとどまらず、法令を超えた社会規範や社会道徳、ステークホルダーの利益や要請に適うことまでも求められる概念と解釈されています。

コンプライアンスリスクと法務リスクの関係

企業が起こした不祥事は、法令違反にとどまらず、社会規範や社会道徳に反していたり、企業の利害関係者の要請に適っていないと捉えられたりすると、深刻なコンプライアンスリスクとして顕在化することになります。

コンプライアンスリスクを、単なる法令遵守の問題として捉えていると、不祥事が発生した際の対応を誤ったり、不祥事の発生を防止するための対策の講じ方を誤ったりするおそれがあります。

言い換えれば、コンプライアンスリスクと法務リスクは重なり合いますが、コンプライアンスリスク=法務リスク、ということではありません。

したがって、コンプライアンスを検討する際には、法務リスクを検討すれば足りる、というわけではないことに留意しましょう。

運送会社・運送事業者におけるコンプライアンスリスクとは コンプライアンスリスクと法務リスクの関係

コンプライアンスリスクにおける企業の責任

コンプライアンスリスクが生じた場合、法人に問われる責任は、大きく次の4つに分類することができます。

運送会社・運送事業者におけるコンプライアンスリスクとは コンプライアンスリスクに伴う法人の責任

民事責任

民事責任とは、金銭的な賠償(損害賠償責任や債務不履行責任)のほか、名誉毀損行為に対する謝罪広告の掲載など、信用回復措置をとることが典型的なものとなります。

取引額が高額なケースや被害が甚大なケースでは、賠償すべき額も高額となるため、一つの不祥事で企業の存続自体が左右されることも起こりえます。

刑事責任

企業であっても、他社の営業秘密を不正に入手した場合には不正競争防止法違反が問題となります。また、従業員に対する労務管理に問題があり、従業員に対する賃金が未払いであったり、過労死事件が発生したりした場合には、悪質な労基法違反事例として刑事責任を問われる場合も起こりえます。

行政責任

企業活動は、業種ごとにさまざまな行政規制の対象となっています。企業活動が行政規制に抵触した場合には、是正勧告や、悪質な違反事例の場合には業務停止処分などの行政責任を問われることも起こりえます。

社会的責任(レピュテーションリスク)

既に述べたとおり、企業はCSRを問われる時代となっています。悪質な違反行為を行った場合には、規制当局から企業名の公表措置をとられるほか、SNSなどで一般人によって企業名や違反事例の概要をインターネット上に拡散されることも起こりえます(いわゆる「ブラック企業」と揶揄される可能性もあります)。

コンプライアンスリスクにおける個人の責任

企業だけでなく、個人であっても、不祥事に関与した場合にはコンプライアンスリスクに晒されることになります。

コンプライアンスリスクが生じた場合、個人に問われる責任は、大きく次の4つに分類されます。

運送会社・運送事業者におけるコンプライアンスリスクとは コンプライアンスリスクに伴う従業員個人の責任

民事責任

民事責任は、個人であっても企業の場合と同様に発生します。

なお、業務上に起こした不祥事(業務上横領等)である場合には、企業に対しても損害賠償責任を負うことがあります。

刑事責任

個人が私生活において窃盗や傷害、盗撮などを働いた場合には、当然に刑事責任を問われることになります。

また、個人が業務に伴い、行き過ぎたパワーハラスメントや、セクシャルハラスメントをした場合、傷害罪や強制わいせつ罪などに問われることもあります。

労務責任

企業と異なり、個人は勤務先企業との間で雇用契約を締結していることから、企業の設定する労務管理(就業規則や社内規程等)に服することになります。個人が企業の就業規則や社内規程等で定める労務管理に違反した場合には、懲戒処分や人事評価での消極的評価対象とされることになります。

社会的責任

企業同様、悪質なコンプライアンスリスクを犯した場合には、個人も氏名等を公表され、社会的信用や地位を失うおそれがあります。

また、個人の氏名等が公表されると、インターネット上で拡散されることも起こりえます。

ご相談のケースについて

  1. コンプライアンスとは、「法令等遵守」と定義されており、法律さえ守っていればよいということではなく、法律を超えた社会規範や社会道徳、ステークホルダーの利益や要請に適うことまでも求められます。
  2. コンプライアンスリスクは、法務リスクよりも広い概念になります。
  3. コンプライアンスリスクは、企業と個人(従業員)、それぞれの場面に分けて考えましょう。

このように、コンプライアンスリスクに伴う企業及び個人の責任は、様々な種類に分類されることになります。

そして、様々な種類の責任の内、特に回避すべき責任は、企業や個人の社会的地位や不祥事の内容、各責任の重大性等によって異なってくることになります。

例えば、資産が潤沢な企業であれば、民事責任(損害賠償請求)を追及されたとしても、それほど高額でなければ、企業の存続にはほとんど影響しないということもあるかもしれません。ですが、非常に知名度の高い企業であれば、損害賠償額が小さかったとしても、企業の社会的信用が毀損されることでブランド価値を大きく損なってしまうことになりかねないために、社会的責任はなんとしてでも回避したいということも考えられます。

企業や個人のそれぞれの置かれた状況によって、特に重大な影響を及ぼす責任の種類や、その対策も異なってくることを理解しておく必要があります。

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