債権回収の各方法 ⑨代物弁済

2018-06-04

代物弁済

1 代物弁済とは

代物弁済とは、債務者が売掛金等を支払ってくれない場合に、他の資産を債権者に引き渡すことによって弁済したことにする手続きです。

本来はお金で弁済しなくてはならないものであっても、債権者がお金以外の資産での弁済を承諾すれば、債務は消滅することになります。対象となる資産は、動産、不動産、債権ですが、不動産の譲渡をなされることが多いです。

 

2 代物弁済のメリットとは

代物弁済のメリットは、以下のとおりです。

(1)裁判所を介さずに債権回収を行うことができます。

強制執行や担保権実行ですと、裁判所での手続きや競売を経てから、債権の回収を行うことになりますが、代物弁済の場合は、①債権と債務の存在②本来の給付とは異なる内容の給付③当事者の合意④弁済があることの4つの要件を満たせば有効に成立します。

 

(2)代物弁済予約をすることができます。

当事者間で代物弁済の合意をした後も、債務者から債権者へ所有権が移転されるまでは、資産の所有権は債務者にあります。

そのため、他の債権者に譲渡されてしまったりすると結局弁済を受けられなくなってしまうことがあります。このようなことを防ぐため、代物弁弁済予約(所有権移転の仮登記)をすることができます。

 

3 代物弁済のデメリットとは

代物弁済のデメリットは、以下のとおりです。

 

(1)資産価値の評価は慎重に行う可能性があります。

代物弁済では、対象となる資産の価値がもともとの債権の金額に及ばない場合であっても、一度資産が譲渡されたらその時点で弁済が完了になります。

また、対象となる資産の価値が、もともとの債権の金額を大きく上回る場合は、価値が上回る部分の金額を債務者に対して返還する必要があり、場合によっては代物弁済自体が取消されてしまうこともあります。

 

(2)代物弁済には税金がかかります。

代物弁済では、債権者・債務者ともに税金がかかります。

 

(3)債務者の場合

資産の譲渡によって免除される債務額は、資産の売却益であり、所得であると捉えられるので、消費税や譲渡所得税がかかります。

また、譲渡した資産の価値より、債務額が上回る場合には、その差額については債務の免除がされたと考えれらますので、債務免除益における法人税がかかります。

 

(4)債権者の場合

債務者から譲渡された資産の価値が、債務額を上回る場合には、その差額分について贈与税がかかります。また、代物弁済として不動産が譲渡された場合には、不動産取得税がかかります。

 

4 まとめ

当事者の合意により行うことができる代物弁済ですが、合意の証となる契約書の作成や、資産価値の正しい評価や、完了後の税金の処理など、専門的な知識が必要になります。

顧問弁護士に相談すると、その地域で連携している税理士を紹介してもらえることもあります。

債権回収の方法で何か適切については、ケースにより異なりますので、代物弁済が最適かどうかを含め、早めに顧問弁護士に相談することをお勧め致します。