債権回収の各方法 ⑧担保権実行

2018-06-01

担保権実行

1 担保権実行とは

訴訟の後に強制執行を行うという債権回収手段のほかに、あらかじめ債権回収の目的となる契約について担保を設けていた場合に、その担保を換金することにより債権を回収する方法が担保権の実行です。

 代表的な担保権としては、抵当権(債務が履行されない場合、目的不動産を競売にかけ、その代金から債権の回収を行うもの)、質権(お金を貸す代わりにあらかじめ担保として他の財産を預かり、お金の返済が無い場合にその財産から返済を受けるもの)があります。また、ビジネスの場では、譲渡担保権(表面的に目的物の所有権を債権者に移転し、債務が返済されたら所有権を元に戻す形で利用されるもの)が使われることもあります。

 

2 担保権実行のメリットとは

(1)抵当権のメリットとは

抵当権の実行をする際には、裁判所の判決等は不要で、抵当権の登記をしていれば、直接実行することができます。

言い換えれば、裁判を起こす手間を省くことができ、すぐに差押えが可能になります。また、抵当権を持っている債権者は、一般の債権者よりも優先的に、売却代金の中から支払いを受けることができます。

 

(2)質権のメリットとは

質権の場合は、債権者が質物を実際に預かります(占有)ので、高価なものを質入れした債務者にとっては心理的プレッシャーになり得ます。

また、抵当権とは異なり、登記できない動産や債権等にも質権を設定することができ、債権が回収できる可能性の幅は広がります。

 

(3)譲渡担保権のメリット

時間や費用のかかる競売手続きを経る必要がなく、優先的に弁済を受けることができます。

質権の場合は、実際に債権者が質物を預かる必要がありますが、譲渡担保の場合は、債務者の手元に目的物を置いたまま担保とすることができます。

 

2 担保権実行のデメリットとは

(1)抵当件のデメリット

抵当権は不動産にしか設定できないので、債務者が不動産をもっていなければ、そもそも抵当件を利用することができません。

逆に、資産価値の高い不動産を持っていると、自分より順位の高い抵当権者が既にいる可能性が高く、十分に回収できない可能性もあります。

 

(2)質権のデメリット

債権者が質物を占有しなくてはなりませんので、管理がしづらいものやあまりに大きなものには設定が難しくなります。

また管理義務も債権者が負いますので、万が一滅失させたりした場合は、損害賠償責任を負うこともあります。

 

(3)譲渡担保権のデメリット

譲渡担保は、目的物の所有権は債権者に移転するものの、目的物自体は債務者の手元においておくことが多いので、債務者が処分してしまったりして、債権者、債務者及び第三者との間で新たなトラブルが起こることもあります。

 

3 まとめ

担保権については、上記以外にも様々なものがありますので、契約締結段階でどのような担保をとるべきかは専門的な知識を有する弁護士に確認しながら担保権の設定をすることが望ましいといえます。

また、担保権の実行で一般的によく利用されているのは抵当権で、有効な債権回収手段ではあるのですが、不動産は競売ではなく、任意売却のほうが高く売れ、且つ短い時間で債権を回収できるということもあります。

担保権の実行は、裁判の判決を得ることなく債権回収ができる手段なのですが、注意すべき点も多々あります。

お早めに経験豊富な顧問弁護士に相談することが、多くの債権を回収するための鍵になります。ぜひご相談ください。