企業秘密漏洩対策 ①企業秘密と契約書

2018-06-08

企業秘密と契約書

1 企業秘密とは

企業秘密とは、取引をする上で他社には知られたくない自社の情報やノウハウのことですが、企業活動の中では、自社の情報を他社に開示しなければならないケースがどうしても出てきます。

その際、ただ単に情報だけを開示してしまうと、当事者以外の第三者には知られたくない情報が世の中に広まってしまう危険性があります。

したがって、自社の企業秘密を開示する目的、開示する情報の種類や範囲を特定し、企業秘密を漏洩しない旨が記載された契約書を締結する必要があります。

 

2 企業秘密の開示・提供において必要となる契約書とは

企業として秘密にしておきたい情報を取引の相手方に開示する場合に締結が必要になるのは、その秘密情報を他に漏洩しないように約束させる内容の秘密保持契約書になります。

イメージとしてわかりやすいのは、自社が開発した製品の作り方を下請工場に教えて大量生産してもらうような場合ですが、それ以外でもこれまで取引のなかった会社と新しく取引を開始する場合には、忘れずに締結するようにしましょう。

 

3 秘密保持契約書の内容

秘密保持契約書には以下の内容を記載する必要があります。

 

(1)情報開示の目的

どのような目的のために、企業がその情報を開示するのかを明確に記載する必要があります。何の業務を遂行するために、あるいは何を相互に検討するために情報を開示するのかを具体的に記載しましょう。

 

(2)秘密情報の定義

取引の中で扱うことになる情報は多岐に渡りますので、その中でもどの情報が秘密情報に該当するのか、しっかりとした定義づけを行う必要があります。

秘密保持契約書では、ここで秘密情報とされた情報の漏洩が禁止されることになります。

 

(3)秘密保持義務、目的外使用禁止義務

秘密情報の開示を受けた当事者が負う義務について明記します。具体的には、開示を受けた秘密情報を第三者に漏洩してはならないという内容にします。

また、開示を受けた当事者は、秘密情報を本来予定していた目的以外に使用してはならないことも定めておきましょう。

 

(4)検査/差止請求

開示された秘密情報がどのように扱われているかを検査・チェックできる内容を定め、不適切な取扱いがあった場合には、それをやめるように請求できる内容も入れておきます。

 

(5)秘密情報の返却または廃棄

協業の検討や受託した業務の終了に伴い、必要がなくなった秘密情報は、秘密情報を開示した当事者に返却するか、漏洩を防ぐために確実な方法で廃棄するような内容にしましょう。

 

(6)損害賠償

秘密保持義務に違反して秘密情報を漏洩した場合に、漏洩した当事者に損害賠償を請求できるという内容も入れておきます。

 

(7)有効期間

秘密情報とは言え、情報は時の経過とともに陳腐化し、価値が低下することが考えられます。従って、秘密保持契約書の有効期間も3年前後のものが多いですが、これは、情報の性質に応じて永年にする場合もありますし、事例に応じて個別に検討することが望ましいと考えられます。

 

4 注意点

秘密保持契約書は、情報を開示する立場での契約なのか、それとも情報を受領する立場での契約なのかによって、確認するポイントが違ってきます。

情報を開示する立場で秘密保持契約を締結する場合には、秘密情報の定義を広くし、秘密として扱われる情報の範囲を広げておくことで、より自社の秘密が守られることになります。また有効期間も長めにすることで、自社の秘密情報を長く守ることができます。

他方、情報を受領する立場で秘密保持契約書を締結する場合には、秘密情報として定義されるものをできるだけ限定しておいた方が余計な義務を負わずに済むことになります。また、開示者が、秘密情報漏洩を防ぐために過度な要求をしてきていないかをチェックすることも重要です。

 

5 まとめ

現在は、秘密保持契約書もインターネットから簡単に雛形をダウンロードすることができますが、後々のトラブルを防ぎ、自社に不利にならないような契約を締結するためには、内容をカスタマイズする必要があります。

そのためにも、自社の事業内容や取引環境等をよく理解してくれている顧問弁護士に作成を依頼することが望ましいと言えます。