不動産関連 ①明渡し・立ち退き

2018-08-03

1 賃貸借契約中の問題

「借主が賃料を払ってくれない」
「借主ではない人が住んでいるようだ」
「契約にそった使い方をしてくれないから出て行ってほしい」

賃貸借契約中には様々な問題が起こり得ますが、いくら賃借人に問題があっても、本人の承諾を得ることなく、賃貸人が部屋に立ち入ったり一方的に明渡しをさせることはできません。

 

2 明渡し・立ち退きを求めるためには

問題のある賃借人との賃貸借契約を解消するには、①賃貸借契約の合意解約②賃貸借契約の解除③賃貸借契約の更新拒絶④賃貸借契約の解約申入れ、という方法があります。①の合意解約の場合以外は、賃貸人から土地や建物の明渡し請求をするには、契約の性質や現況など、様々な要素を分析、検討していく必要があります。

 

(1)賃借人が賃貸借契約の解除事由にあたる行為をしていないか

賃借人が賃貸借契約の解除事由にあたる行為をしていないかどうかも検討しましょう。例えば、賃借人の家賃滞納、賃借人の無断転貸、事前に予定していた用途とは違う用途で使われていないか、等を検討しましょう。もし賃借人側に解除事由にあたる行為があった場合は、明渡し料を払うもなく、法的手段に基づいて迅速に明渡しを求めることができる可能性が高いです。

 

(2)賃貸借契約が借地借家法等の適用を受けるか否か

借地借家法とは、一般的に賃貸人よりも弱い立場にある賃借人を保護するための法律であるため、賃貸人の側からの明渡し請求は、要件が厳しく、賃貸人にとっては不利になることもあります。対象となる賃貸借契約が借地借家法の適用を受けるかどうか検討しましょう。

借地借家法の適用があり、かつ賃借人に(1)に該当するような特段の解除事由もない場合で、賃貸人が期間満了による更新拒絶や解約申入れをする場合には、賃貸人に更新拒絶又は解約申入れをするに足りる「正当事由」が必要になります。

「正当事由」については、賃貸人が土地・建物の使用を必要とする事情、賃貸借に関する従前の経緯、土地・建物の利用状況、立退料の提供などを考慮して判断されることになります。

 

3 問題解決の流れ

明渡しや立ち退きについての問題が生じた場合の解決に向けた流れを以下のとおりご説明いたします。

 

(1)物件の調査

まず最初に物件の現況を調査します。その後どういった手続きをとるかの判断にも影響しますので、状況をよく確認するようにしましょう。

 

(2)交渉開始

物件の調査の結果を踏まえ、賃借人と話し合いを行います。この段階で話がうまくまとまれば、裁判を行わなくても解決できる場合があります。話し合いや交渉うまく進まないようであれば、内容証明郵便の送付によって、賃貸人の賃料請求や契約解除の意思表示を証拠に残しながら、後の手続きに備えるようにしましょう。

 

(3)占有移転禁止の仮処分

多重債務を抱えている賃借人が、第三者に占有をさせておいて、自分はどこかに雲隠れしてしまう、ということもあります。賃借人を被告として物件の明渡しを認める判決を得ても、占有している第三者には判決の効力が及ばず、強制執行の手続ができなくなってしまいます。占有移転の仮処分は、このような妨害を防ぐための保全手続です。

 

(4)賃料請求・明渡訴訟

賃借人が話し合いや交渉に応じない場合や、賃借人が行方不明などの場合には、裁判所に訴訟を起こします。裁判の判決に基づく明渡しは、賃貸人にとってはリスクも少なく、確実な手段といえます。

 

(5)強制執行

賃貸人に勝訴判決が下ったにも関わらず、賃借人や占有者が開き直って任意に明渡さない場合や、賃借人が行方不明の場合などには、強制執行手続によって、強制的に明渡しを行います。

 

4 立ち退きの要求が認められる場合

上記でご説明いたしましたように、賃借人は借地借家法で保護されているため、賃貸人からの立ち退きの要求はなかなか認められません。ではどういった場合に立ち退きが認められるのかをご説明いたします。

 

(1)更新のない定期借家契約

更新のない定期借家契約の場合は、契約期間終了を理由に賃借人に立ち退きを請求することが可能です。

 

(2)賃貸人と賃借人の信頼関係が損なわれた場合

賃貸借契約は、賃貸人と賃借人の信頼関係に基づく契約でもありますので、賃借人の不誠実な行為により、賃貸人と賃借人の信頼関係が損なわれた場合、立ち退きが認められることもあります。

 

(3)建物老朽化による立ち退き

建物の老朽化による立ち退きの場合も、無条件での立ち退きは認められません。「引っ越し費用」「転居先の賃料が高くなる」等、賃借人が被る不利益も考慮し、ある程度の費用を賃貸人が負担することによって解決することもあります。

 

5 立ち退き料について

実際に立ち退き料を支払ったうえで退去してもらう場合、どのように算定されるのでしょう。このような場合は、賃貸人の事情と賃借人の事情を考慮して決定されることになります。具体的には、賃貸人賃借人双方の年齢、職業、資産、経済状態、健康状態に加えて、契約内容、立ち退きを求める理由等を考慮して決定されます。

 

6 まとめ

明渡しや立ち退きについては、賃貸人にとっても賃借人にとっても大きな問題であるため、簡単に解決できることではありません。そのため、早期に弁護士に相談しアドバイスを受けることが得策といえます。弁護士であれば、法的手続もスムーズに行うことができますし、立退料の算定についてもアドバイスをしてもらうことができます。何かお困りのことがあれば、ぜひ当事務所にご相談ください。

 

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